季節性インフルエンザの流行シーズンを迎え、予防接種を検討される方が増える時期となりました。新型コロナウイルスワクチンで広く知られるようになった「mRN技術」ですが、「今年のインフルエンザワクチンにも使われているの?」というご質問をいただくことがあります。
結論から申し上げますと、2025年度に日本国内で接種される季節性インフルエンザワクチンに、mRNA技術を用いたものは使用されていません。
本記事では、現在のインフルエンザワクチンの製造方法や、mRNAインフルエンザワクチンの開発状況について、公的情報を基に詳しく解説します。
2025年度に接種されるインフルエンザワクチンについて
現在、日本国内の医療機関や自治体で提供されている2025年度のインフルエンザワクチンは、従来から実績のある製造方法で作られています。
現在のワクチンの製造方法:「鶏卵培養法」
日本で承認・使用されているインフルエンザワクチンの多くは、「鶏卵培養法」という方法で製造されています。これは、発育鶏卵(孵化しかけの鶏の卵)の中でウイルスを増殖させ、そのウイルスからワクチン製造に必要な成分(HA抗原)を取り出して精製する、以前より確立されている技術です。2025/26シーズンに供給されるワクチンも、この従来法によるものが主流です。
・安全性:長年にわたって使用されており、安全性と有効性が確認されています。
・種 類:ウイルスを無毒化した「不活化ワクチン」であり、体内でウイルスが増殖することはありません。
・種 類:ウイルスを無毒化した「不活化ワクチン」であり、体内でウイルスが増殖することはありません。
インフルエンザmRNAワクチンの現状
一方で、新しい技術であるmRNAを用いたインフルエンザワクチンの開発も世界中で進められています。しかし、現時点では日本国内での実用化には至っていません。
国内外での開発状況
- インフルエンザに対するmRNAワクチンは、国内外の製薬企業によって開発が進められていますが、日本ではまだ承認されていません。
- 一部のワクチンは薬事申請段階にあるとの情報もありますが、承認され、実際に接種が開始される時期は未定です。
- また、新型コロナウイルスとインフルエンザの両方に対応する「混合ワクチン」もmRNA技術を用いて開発中ですが、こちらも接種開始時期は決まっていません。
将来的には、mRNA技術によって、より迅速なワクチン製造や、高い予防効果が期待されていますが、実用化には国の厳格な審査と承認プロセスを経る必要があります。
まとめ
- 今冬のワクチン:従来通りの「鶏卵培養法」などで製造された不活化ワクチンです。
- mRNAワクチン:インフルエンザ用のmRNAワクチンは、日本では未承認・未供給であり、今年の接種で使われることはありません。
安心して、お近くの医療機関でインフルエンザワクチンの接種をご検討ください。
【情報ソースについて】
本記事の内容は、以下の公的資料を基にしています。(2025年11月時点)
- 厚生労働省「令和7年度(2025/26)季節性インフルエンザワクチンの供給について」
- 厚生労働省「ワクチン関連分科会議事録」
- 日本感染症学会「インフルエンザワクチンに関する声明」
- 各医療機関の公式発表・接種関連情報
インフルエンザの予防やワクチンの接種についてご不明な点がございましたら、かかりつけの医師や、お近くの薬局の薬剤師にお気軽にご相談ください。
