前回のコラムでは、春の体調不良の正体が「自律神経の疲れ」であること、そしてそれを整えるための「3つの習慣」の全体像をお伝えしました。

  1. ☑️ 朝日を浴びる 
  2. 呼吸を整える
  3. 睡眠環境を整える

今回は、その中でも最もシンプルで、

最も効果が高い習慣である
朝日を浴びる」に焦点を当てます

なぜ、朝の光が、自律神経を整えるのか?

その医学的なメカニズムを、分かりやすく解説していきます。

私たちの体に備わる「24時間のタイマー」

人の体には、意識せずとも睡眠や体温、ホルモンバランスを調整する「体内時計」が備わっています。しかしこの体内時計、実は24時間より少し長く設定されています
そのため、毎日どこかで、「時刻合わせ=リセット」が必要になります。

この時計の司令塔となっているのが、脳の視床下部にある「視交叉上核(しこうさじょうかく)」という部位です。ここは、目から入った光を直接受け取る、いわば「体内時計の光センサー」です。

朝、光が目に入ると……

  1. 網膜が光をキャッチ
  2. 信号が「視交叉上核」へ届く
  3. 「一日のスタート!」と体内時計がリセットされる

このスイッチが入ることで、朝スッキリと目覚め、夜になると自然に眠くなる・・・

そんな本来のリズムが取り戻されるのです。

天然の睡眠薬「メラトニン」の秘密

睡眠に深く関わるホルモンに「メラトニン」があります。
これは脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるこのホルモンです。

特徴はとてもシンプルです。

  • 夜になると分泌が増え、眠気を誘う
  • 朝の強い光を浴びると、分泌が止まる

つまり、朝日は脳にとって「夜を終わらせるスイッチ」なのです。

朝、しっかり光を浴びてメラトニンを止めることができないと、日中も脳に「夜の残り香」が漂い、だるさや眠気が続いてしまいます

メラトニンの元は、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンです。

セロトニンは、朝日を浴びると脳内で作られます。
これが夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンに作り変えられるのです。朝の光刺激から1416時間ほどでメラトニンが分泌されます。

したがって、
朝日に当たってセロトニンをしっかり作ると、夜にメラトニンがしっかり分泌される、昼夜のリズムを整えるには効果的と言えます。

1015分」の継続が体を変える

では、具体的にどれくらい朝日を浴びれば良いのでしょうか?

研究では、1015分程度の光を浴びることで体内時計がリセットされると言われています。

大切なのは、「継続」です。
乱れた体内時計が安定するまでには、およそ2週間かかると考えられています。

「忙しくて散歩なんて無理!」という方もご安心ください。特別なトレーニングは不要です。

  • 通勤時に一駅分だけ外を歩く
  • ベランダに出て深呼吸をする
  • 窓際で朝食を食べる

可能ならば窓際ではなく、直接、朝日にあたるほうが効果的ですが、窓際でも朝日に当たらないよりかは、はるかに良いです。
たとえ曇りの日であっても、外の光は室内照明の数十倍の明るさがあります。十分にスイッチの役割を果たしてくれますね。

たったこれだけの対策で、十分なのです。

Life Tune」:本来のリズムを取り戻す

健康のために「何かを足す」のではなく、本来備わっている体の機能を呼び覚ます
朝日を浴びることは、まさにLife Tune(生活のリズムを整えること)の第一歩です。

明日から、カーテンを開けて数分間、光を感じる時間を作ってみませんか?

【次回予告】 3回:自律神経を操る唯一の鍵「呼吸」~迷走神経を刺激する整え方~

次回は、自分ではコントロールできないはずの自律神経に、唯一アクセスできる方法である「呼吸」について詳しく解説します。

>「第1回:春の不調は「自律神経」のサイン? 三寒四温を乗り切る体の整え方」はこちら