「手洗い」「うがい」に続く感染対策シリーズ、第3回は「マスク」についてお話しします。

新型コロナウイルスの5類移行に伴い、マスクの着用は「個人の判断」が基本となりました。街中でもマスクを外す方が増えましたが、同時にSNSやネットニュースなどで「マスクには感染防止効果がない」といった極端な意見を目にすることはありませんか?

今回は、そうした「マスク不要論」の誤解を解き、今だからこそ知っておきたい「賢いマスクの使い方」について、科学的なデータをもとに解説します。

よくある誤解:「ウイルスのほうが網目より小さいから意味がない」

「マスクの網目はウイルスより大きいから、ザルで水をすくうようなものだ」 こんな話を聞いたことはありませんか? 確かに、ウイルスの粒子(約0.1μm)は非常に小さく、マスクの繊維の隙間よりも小さいのは事実です。

しかし、これは大きな誤解です。

【正解】ウイルスは「単体」では飛びません

ウイルスが単独で空気中をプカプカ漂っているわけではありません。

感染の主な原因は、咳やくしゃみ、会話で飛び散る「飛沫(ひまつ)」や、その水分が蒸発した「エアロゾル」です。

これらはウイルスよりもずっと大きな粒子です。
マスクは、ウイルスそのものではなく、ウイルスを含んだ「飛沫」や「エアロゾル」を物理的にキャッチすることで、吸い込みや拡散を防いでいるのです。

数字で見る「マスクの実力」

マスクの効果は、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の実験データでも明らかになっています。屋内の公共の場でマスクを着用していた人は、していなかった人と比べて、新型コロナウイルスの陽性率が大幅に下がることが報告されています。

  • 布マスク着用: 56%減少
  • 不織布(サージカル)マスク着用: 66%減少
  • 高機能マスク(N95/KN95)着用: 83%減少

このデータからもわかる通り、マスクには確かな予防効果があります。特に、一般的に手に入りやすい不織布マスクが高い効果を示しています。

メリハリが大事!マスクを着けるべき「TPO」

今は常時着ける必要はありません。大切なのは、リスクの高い場面を見極めて「賢く使う」ことです。以下の場面では、ご自身と周りの方を守るために着用を強くおすすめします。

  1. 医療機関や高齢者施設に行くとき
  2. 通勤ラッシュなど、混雑した電車やバスに乗るとき
  3. 人混みや換気の悪い屋内に行くとき
  4. 重症化リスクの高い方(高齢者、基礎疾患のある方、妊婦さんなど)が混雑した場所へ行くとき

 

マスクのデメリットと注意点

もちろん、マスクにもデメリットはあります。無理せず対策しましょう。

  • 肌荒れ・ニキビ: 蒸れや摩擦が原因です。帰宅後はすぐに外し、丁寧な洗顔と保湿を心がけてください。
  • 頭痛・息苦しさ: 酸素不足などが原因になることがあります。こまめに休憩をとったり、人がいない場所で外して深呼吸したりしましょう。

 

【最重要】2歳未満のお子様には「危険」です

2歳未満のお子様へのマスク着用は推奨されていません。

自分で外すことが難しく、窒息などの危険性があるためです。
日本小児科学会なども警鐘を鳴らしていますので、保護者の方は十分ご注意ください。

 

まとめ:3つの基本で「鉄壁」の守りを

全3回にわたりお伝えしてきた感染対策シリーズ、いかがでしたか?

  1. 手洗い: ウイルスを物理的に洗い流す(2度洗いが最強!)
  2. うがい: のどの奥を洗い流す(斜め上45度がコツ!)
  3. マスク: ウイルスの侵入経路を物理的に塞ぐ

この「3つの基本」は、インフルエンザや食中毒など、あらゆる感染症に対する「最強の盾」です。
特別なことをする必要はありません。日々の小さな習慣の積み重ねが、あなたと大切なご家族の健康、そして未来の社会を守ることに繋がります。

少しでも体調に不安があるときや、お薬のことで疑問があるときは、いつでも私たち「かかりつけ薬局」にご相談くださいね。