「最近、汗をかきにくくなった気がする」

「去年より夏の疲れが残る」

── それは、身体が暑さに慣れていないサインかもしれません。


これから迎える本格的な夏。
近年、災害級とも言われる猛暑のなかで、熱中症を防ぐために最も注目されているキーワードをご存知でしょうか?それが 暑熱順化(しょねつじゅんか) です。

── Section 01

現代人は「汗をかけない身体」になっている?

人間は本来、暑さを感じると自律神経の働きにより皮膚の血流量を増やし、汗をかきます。
そして、その汗が蒸発するときの「気化熱」を利用して、体温を下げるという素晴らしい仕組みを持っています。

しかし、冷房の効いた快適な部屋で過ごすことが増え、日常的に運動する機会が減ると、この「汗をかいて熱を逃がす」という機能がなまってしまうのです。

そこで、本格的な暑さがやってくる前に、意識して身体を暑さに慣れさせていくこと。これが暑熱順化(しょねつじゅんか)です。身体が暑さに慣れると、循環する血液量が増え、汗をかき始めるタイミングが早くなります。さらに、汗と一緒に失われる塩分(ナトリウム)も少なくなるため、より効果的に体温調節ができる 「夏に強い身体」 へと変化するのです。

BRAIN HACK -知って驚き

運動後の「牛乳」が、熱中症を防ぐ。

暑熱順化を効果的に進めるには、「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる運動をするのが基本です。でも、ここで「え!そうなの?」と驚くようなトリビアをひとつ。

 

実は、運動をした直後に「牛乳(コップ1〜2杯)」を飲むと、より一層暑さに強い体を作ることができるのをご存知ですか?

「夏バテ予防に牛乳?」と不思議に思うかもしれません。
しかし、運動直後に牛乳のように糖質とタンパク質を豊富に含んだ食品を摂取すると、血液量が増加して体の熱を逃す能力がアップすることが、医学的な研究でわかっています。

 

水分補給といえばスポーツドリンクが定番ですが、運動後の「ご褒美の一杯」として牛乳を取り入れるのは、理にかなった熱中症対策なのです。

 

── Section 02

無理なく始める、日常での「暑熱順化」アクション

暑熱順化が完了するまでには、数日から2週間程度かかると言われています。
毎日の生活の中で、無理なく少しずつ取り入れてみましょう。

01 MICRO STEP – WALK

いつもの道で「インターバル速歩」。

特別なトレーニングは不要です。
通勤や買い物で歩く際、「3分間の早歩き(大股で腕を振って)」と「3分間のゆっくり歩き」を交互に繰り返してみてください。

02 MICRO STEP – BATH

シャワーで済ませず、湯船に浸かる。

暑いとつい手軽なシャワーで済ませがちですが、2日に1回程度は湯船にしっかり使って、じんわりと汗をかく習慣をつけることも立派な暑熱順化のトレーニングになります。

03 SMART CHOICE – DRINK

運動後の一杯に、牛乳を選ぶ。

前述のとおり、運動後の30分以内にコップ1〜2杯の牛乳を飲むことで、体が暑さに強くなる仕組みを後押しできます。「ご褒美」感覚で取り入れるのがコツ。

 

重要 -ご家族の方へ

高齢者の「隠れ脱水」にご注意を。

 

最後に、医療従事者としてどうしてもお伝えしたい注意点があります。

 

ご高齢になると、皮膚の温度を感じ取るセンサーや、喉の渇きを感じる機能がどうしても低下してしまいます。

ご本人が「喉は渇いていない」と思っていても、実は脱水が進んでいたり、室内が高温になっていたりするケースが少なくありません。

 

ご家族の皆様は「エアコンは適切についているか」「定期的にお茶や水を飲んでいるか」などの、いつも以上の細やかなお声がけや見守りをお願いいたします。

熱中症は、もはや「災害」とも呼ばれる危険を持っています。

けれど今の時期から上手に汗をかく練習をして、

身体を夏仕様にアップデートしておけば、過度に恐れる必要はありません。

 

次回、熱中症の「危険なサイン」と、正しい応急処置。

 

いざという時に、ご自身とご家族の命を守るために。次回は、見逃してはいけない症状と、その場でできる対処法をお届けします。

 

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