1回では、熱中症が起きるメカニズムと、日常でできる予防策をお伝えしました。
どんなに備えていても、災害級の猛暑の前では誰にでもリスクがあります。

第1回 熱中症を、もっと身近に。 知識が、あなたと家族を守る武器になる。- HEAT STROKE SERIES vol01-

大切なのは「いざという時に慌てないこと」。

このコラムでは、熱中症の危険なサインを見抜く方法と、その場で命を守るための正しい行動をお伝えします。

 

── Section 01

見逃さないで。 熱中症の初期サインと重症サイン

熱中症は、ゆっくり始まることもあれば、突然重症化することもあります。
ポイントは早い段階で気づいて、涼しい場所に逃げること

次のような症状が出たら、それは身体からの警告信号です。

CHECK LIST – こんな症状が出たら、すぐ日陰・冷房へ

【初期サイン ── Ⅰ度】

  • めまい、立ちくらみ(急に立つとフラッとする)
  • 足のつり(こむら返り)
  • 拭いても拭いても次々と出る大量の発汗
  • 顔が赤くほてり、皮膚が熱い

【中等症サイン ── Ⅱ度:医療機関を受診すべき段階】

  • 頭痛・吐き気・嘔吐
  • 体がぐったりして動けない
  • 集中力・判断力の低下(いつもより反応が鈍い)

【重症サイン ── Ⅲ度:直ちに119番を!】

  • 意識がおかしい(呼びかけに反応しない、うわ言を言う)
  • けいれんが起きている
  • まっすぐ歩けない、体を支えられない
  • 皮膚が乾いて赤く、汗が出ていない(体温が40℃超)

特に「汗が出ていないのに体が熱い」という状態は最も危険です。
体温調節システムが完全に機能を失っているサインで、11秒を争います。

 

── Section 02

病院へ行く? 救急車を呼ぶ? 迷った時の「ペットボトル・テスト」

ご家族や周りの方がぐったりしている時、「様子を見るべきか、すぐ病院か」と迷うことがあります。そんな時に役立つ、シンプルな判断基準をお伝えします。

BRAIN HACK – 判断基準 – 未開封の冷たいペットボトルを渡してみる

本人に「未開封の冷たいペットボトル」を渡して、次のことを確認してください。

 

「自分でフタを開けて、むせずにしっかり飲めるか?」

 

☑️ 開けられて、飲めた 涼しい場所で安静にして、様子を見ながら経過観察。

 

開けられない、持てない、飲めない 意識障害が始まっているサインです。無理に飲ませると気道に入る危険があります。すぐに119を!

判断に迷ったら、救急安心センター「#7119に電話を。
看護師・医師が相談に乗ってくれます。今すぐ携帯電話に登録しておくことをおすすめします。

 

── Section 03

正しく冷やす。 「おでこ」より「首・脇・足の付け根」

熱中症の応急処置で最も重要なのは、「体温を下げること」です。しかしここで、多くの方が勘違いしがちなことがあります。

よくある誤解 –  おでこの冷却シートは、体温を下げない!

 

熱中症になったとき、おでこに市販の冷却シートを貼る方をよく見かけます。
気持ちはよくなりますが、残念ながらおでこを冷やしても上がってしまった体温(深部体温)を下げる効果はほとんどありません

 

体温を効率よく下げるには、皮膚のすぐ下を太い静脈が通っている部位を冷やすことが重要です。

CORRECT ACTION効率よく体温を下げる冷却ポイント

冷えたペットボトル・保冷剤・濡れタオルを、次の3か所に当ててください。

  • 首の付け根の両脇(頸動脈が通っている)
  • 脇の下(腋窩動脈が通っている)
  • 太ももの付け根の前面(鼠径部)(大腿動脈が通っている)

 

 

この3か所を同時に冷やすと、冷やされた血液が全身をめぐり、効率的に深部体温を下げることができます。

 

BRAIN HACK    緊急時に使える技    「手のひら」を冷やすだけで、体温が下がる。

 

外出先で氷や保冷剤がない!という時に、今すぐできる方法があります。

自販機で買った冷たいペットボトルを、手のひらでギュッと握るだけです。

 

 

手のひらには、体温調節を担う特殊な血管(AVA血管)が集中しています。
この血管は通常の毛細血管より太く、多くの血液が流れています。冷たいものを握ることで、冷やされた血液が素早く全身をめぐり、驚くほど効率的に体温を下げることができるのです。

 

同様に、手首まで冷水に浸けるのも非常に効果的です。水道で手首まで洗うだけでもよいので、すぐにできます。

── Section 04

覚えておこう、応急処置の合言葉。 「FIRE(ファイア)」

熱中症の初期対応は、医療現場でも使われる合言葉「FIRE」でシンプルに覚えられます。

F

Fluid(水分補給)

自分で飲めるなら、冷たい水を飲む

I

Icing(冷却)

首・脇・鼠径部、または手のひらを冷やす

R

Rest(安静)

日陰・クーラーの効いた部屋で横になる

E

Emergency call(緊急通報)

飲めない・様子がおかしい 迷わず119番!

熱中症は進行が早くて恐ろしい疾患ですが、正しい知識に基づく迅速な「FIRE」があれば、多くのケースで重症化を防ぐことができます。
もちろん、横文字でなくて良いですよ。「飲む、冷やす、休む、病院」・・・これでよいのです。覚えておいてくださいね。

 

2回にわたる熱中症コラム、最後までお読みいただきありがとうございました。

「暑熱順化で身体を整え、知識で自分と家族を守る」── この2つが揃えば、今年の夏はきっと安心して過ごせます。

 

少しでも体調に不安を感じたら、どうかひとりで抱え込まず、お気軽に薬局スタッフにお声がけください。私たちが一緒に考えます。

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