見過ごされがちな「目の紫外線ばく露」とそのリスク

肌のケアには気を配っていても、目の防護を忘れていませんか。

目は皮膚とは違い、外界に露出した粘膜を持つ器官です。
世界保健機関(WHO)の推計では、世界で 1,500 万人が白内障により視覚を失っており、そのうち10%は紫外線(UVR)ばく露が一因である可能性があるとされています。

紫外線が目に及ぼす影響は慢性的な疾患だけではありません。「光角膜炎(雪目)」や「光結膜炎」といった、痛みを伴う急性の炎症もリスクの一つです。長期的な影響としては、白内障や翼状片(白目の組織が黒目側に伸びてくる疾患)に加え、加齢黄斑変性症への関与も指摘されています。紫外線から目を守るサングラスは、白内障予防の観点からも実用的な防護具といえます。

「色の濃いレンズ=安全」という誤解

多くの方が陥りやすいのが「レンズの色が濃いほど紫外線を防げる」という誤解です。
環境省の『紫外線環境保健マニュアル』は、この点に注意を呼びかけています。

【注意:色の濃いレンズの落とし穴】

人の瞳は、周囲が暗くなると光を取り込もうとして瞳孔が大きく開きます。
そのため、色が濃いだけで紫外線カット性能の低いレンズを着用すると、開いた瞳孔からかえって多くの紫外線が眼の中に入り込んでしまうおそれがあります

色の濃さと紫外線カット効果は別の指標である、という点を押さえておきましょう。

サングラスの選び方、3つのポイント

①「紫外線透過率」の数値を確認する

色の濃さではなく、タグに記載された「サングラスの紫外線透過率」を確認しましょう。
この数値は低いほど性能が良く、目安として「1%以下(紫外線を99%以上カット)」の表示があるものを選ぶと安心です。

スポーツ用など高性能なレンズでは「0.1%以下(99.9%以上カット)」の製品もあります。

②フレームの「隙間」を意識する

紫外線は正面だけでなく、上下・左右の隙間からも入り込みます。
WHOも紫外線を99100%カットするUVカットサングラス、いわゆる「ラップアラウンド(顔に沿う)型」のサングラスを推奨しています。顔の曲線にフィットする、レンズの大きめなものを選びましょう。

③目の防護率90%を目安にする

つばの広い帽子だけでは目への紫外線ばく露を約20%しか減らせませんが、紫外線カットサングラスを適切に着用すれば、最大で約90%までカットできるとされています。

日傘×サングラスの「合わせ技」で夏を乗り切る

紫外線対策を仕上げるなら、日傘とサングラスの併用が理想的です。
日傘で頭上からの直射光を遮り、サングラスで周囲や地面からの散乱光・反射光をブロックする。

この組み合わせが、熱中症と紫外線による目・肌へのダメージの両方を防ぐための実践的な備えになります。

最後にバランスについても触れておきます。
紫外線は体内でビタミンDを合成し、骨の健康を維持するためにも必要な役割を担っています。ただし、SPF30の日焼け止めを塗るだけで、皮下でのビタミンD産生は5%以下まで低下してしまうことも分かっています。

過剰に日光を避けるのではなく、日傘や紫外線対策サングラスといった物理的な防護具を上手に使いながら、必要な日光と付き合っていく――そんな「正しく知り、賢く防ぐ」姿勢が大切です。

日差しの強い時間帯(おおむね午前10時~午後2時)の過ごし方など、ご自身の生活に合わせた対策でお困りの際は、いつでも当薬局スタッフにご相談ください。

紫外線対策の「新常識」:日傘とサ ングラスの科学的効果【第 1 回 日傘編】熱中症リスクも軽減する最強の「持ち運べる木陰」

参考資料

・世界保健機関(WHO)「Ultraviolet radiationFact sheet20226月更新) https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/ultraviolet-radiation

・環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」 https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf